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情報誌

巻頭言(1)

≪第10号≫「環境負荷の外部転嫁」
  舩橋 晴俊
(法政大学社会学部教授)

私の研究室では、数年来、青森県六ケ所村の核燃料サイクル施設について環境社会学の視点から調査をしている。この地域を訪れると、東京にいるのとは異なった形で日本社会の姿が見えてくる。

現在、日本中の主要なタイプの放射性廃棄物(低レベル、高レベル、使用済み燃料)が、人口約1万人のこの村に集中するという巨大な格差構造ができつつある。電力消費地の需要を満たした帰結としての放射性廃棄物が、空間的には遠隔地に押し付けられ、時間的には将来世代に転嫁されようとしている。一つの地域で発生する環境負荷が増大し、その地域の中だけでは対処できなくなると、他の地域に外部転嫁するという方策がとられている。ところが、環境負荷は外部転嫁されている限り、そのもともとの発生源となっている人々・組織・地域にとっては、痛みが感ぜられることはなく、その抑制への動機づけも働かない。「環境負荷の外部転嫁」は、「環境負荷の増大」と相互促進的なのである。

「環境負荷の削減」が、グリーンコンシューマー運動の目標であるが、そのためには同時に、「環境負荷の内部化」による環境にかかわる社会的公正の実現が必要と思われる。すなわち「環境負荷の負担についての地域格差の是正」が要請されるのである。

以上



≪第9号≫「緑に包まれて」
  川島 霞子
(特定非営利活動法人 東京都地域婦人団体連盟会長)

世はまさに青嵐のとき。大自然のエネルギーを全身に感じる季節でもあります。日本各地に建てられ始めている風力発電の風車も、今はせっせとクリーンなエネルギーを創り出していることでしょう。最近は、割高を承知でクリーンなエネルギーを購入する企業も出てきており、風力発電も確実に前進するものと思われます。

グリーンコンシューマーの活動とは、環境に配慮した商品・サービスを選択するという生活の入り口から始まって、買ったら大切に使い、廃棄時には分別する等など、暮らし全般に関わる活動を含めていると思います。

一人ひとりはできることから始めれば良いと思いますが、より多くの人々の生活を見直すうねりが見えて始めてグリーンコンシュ―マーが増えたということになるのでしょう。

地域を拠点にさまざまな活動に取り組んでいる私たちの団体も、活動の中に暮らしにつながる環境問題を明確に位置づけています。生活の一コマ一コマに環境に配慮した行動をとることを申し合わせ、心がけております。原点はモノを大切にすることです。ご一緒に運動を進めてまいりましょう。

以上



≪第8号≫「グリーンコンシューマーの心」
  和田 正江
(主婦連合会会長)

十数年前、買い物袋を持っていたのでデパートで「袋は要りません」といったところ、「万引きと間違われても知りませんよ」としぶしぶ商品にシールを張ってくれました。レストランで持参している箸を使っていると、冷ややかに奇異の目で見られました。今日やっと好意的な視線に変わりました。

先日、30年近く愛用の洗濯機がついにダウン、ちょうど知人が事務所で十年ほど使った洗濯機が不要になった由、容量もちょうどよく、時々タオルを洗っただけとのことで新品同様、早急いただいて好調に運転中です。今度は私の寿命といい勝負でしょう。昨今、電気製品が「エコ使用」とか水道代・電気代が毎月○○円安くなると宣伝し買い替えを進めますが、新製品の開発にかかるコスト、古い製品を処分するエネルギー、コストを考えれば、やはり手持ちの品を大事に使うのが基本ではないでしょうか。

明治生まれの母は着物で過ごし、針仕事が大好きで着物を縫い直したり、半てんやクッションなどを作ってくれました。古いものをしまい込んで閉口もしましたが、ある日古着や布を捨てるよう頼まれました。ふと見ると、きちんと結んだ紐に挟んだ紙に「さよなら」とあります。長い年月愛用し、使いまわしてきた布に対する母の愛情と惜別の念に、文字が涙でかすみました。

以上



≪第7号≫「グリーンコンシューマーと大学教育」
  間々田孝夫
(立教大学社会学部教授)

5年ほど前からグリーンコンシューマーの考え方に関心を寄せるようになり、それ以来本校及び非常勤を努めるいくつかの大学の授業で、グリーンコンシューマーについて取り上げてきました。

その結果、学生たちはグリーンコンシューマーの概念、およびその必要性については、驚くほど的確に理解してくれていることがわかりました。しかし、同時にわかったことは、グリーンコンシューマー的行動はほとんど見られないということです。大学でも冷暖房はつけっぱなし、紙は無駄遣い、廃棄物は出し放題です。

日本人は、以前から、頭では環境問題に理解があるが実行が伴わない、といわれていますが、まさにそれを痛感してきた次第です。

今までは、頭の中での理解だけでもいいから、ともかくグリーンコンシューマーの認知度を高め、裾野を広げようとしてきましたが、実行に結びつかないというのはやはり深刻な問題です。

小中学校と違い、大学は自由で学生を大人扱いせざるを得ない場所です。そこで、どうやって学生たちにグリーンコンシューマー的行動を実行させるか、それを考え始めたところです。

以上



≪第6号≫「子どものカミさま」
  早川 克己
((財)日本消費者協会会長)

「野性の麻だけはとりません。誤解されるから」。田島伸二さんは笑いながら説明した。サトウキビからは和紙そっくりの味わいの紙、青竹から薄緑色が美しい紙を作っていた。庭の隅に炉を築きどんな植物からでも紙がすけるという。児童文学者で識字教育の専門家。パキスタンで3人の使用人に紙漉きを教えたら、政府の高官がこの三人に教えを乞いに来るようになったとか。

コピー時代。裏の白い紙を見るたび、地べたに棒で文字を書いていた子どもたちがまぶたに浮かぶ。新聞報道ではアジア諸国から梱包用ダンボールの原材料に古紙の注文が増え、日本では調達に苦慮しているそうだ。我が家の古紙供出担当を任じている身としては得心すると同時に、家電の梱包用だけでなくノートや画用紙にも回って欲しいと念じてしまう。

新聞社勤めの頃新聞は「カミ」と言っていた。オフィス町内会が編んだ「白色度70がちょうど良い」(ぎょうせい刊)のオビには「世の中を変えていく人へ」とある。確かに紙は作る、使う、リサイクルする、そのすべてにわたって新しい社会の理念となりうるものだと思う。字の読み書きの訓練が必要な子どもたちにとっては単なるカミでなくて神でさえあるのだから。

以上



≪第5号≫「だれでもなれます!  グリーンコンシューマー」
  江尻 京子
(特定非営利活動法人東京・多摩リサイクル市民連邦事務局長、多摩ニュータウン環境組合リサイクルセンター長)

東京・多摩リサイクル市民連邦では、今年4月から八王子市・町田市・多摩市で構成する多摩ニュータウン環境組合リサイクルセンターの管理運営を受託しています。ごみの減量やリサイクルの推進を支援する施設として、情報提供やリサイクル体験講座を主催する他、粗大ごみとして回収した家具の一部を清掃修理して、リサイクル家具として販売しています。

先日、センター主催で「家具お直し講座」を開催しました。集まった参加者の皆さんは、愛用している家具の不具合を何とか直して、長く使いたいと一生懸命に質問したり、講師の手先を覗き込んだりしていました。講師はセンターで家具修理をしているシルバー人材センターの方々ですが、教える方と教えられる方が一体となったとても良い雰囲気のひとときでした。

何とか直したい、直してあげたい。もっと長く使いたい、使って欲しい。「もったいない」のキャッチボールは見ていてとても気持ちのよいものです。

買う時だけではなく、普段の暮らしの中で、物を大切にしたいという素直な気持ちの持ち主はだれでもグリーンコンシューマーの資格あり! あなたも私もグリーンコンシューマーになれますね。

以上



≪第4号≫「グリーンコンシューマー精神の浸透を」
  鍋嶋 訽三
((社)消費者関連専門家会議理事長)

私は毎朝、最寄の駅まで約20分田舎道を歩いて通勤しています。道筋の家には、毎春マンサクから始まり、ローバイ、ウメ、サンシュユ、コブシ、ミツマタ、トサミズキ、ヒョウガミズキ、サクラと樹木が花をつけています。その道も右側は人家、左側は田圃、その間は農業用水路と幅1.6メートルほどの農業用道路です。

20年ほど前は、農業用水路にはカエルやザリガニが多く、子どもたちが遊んでいました。今は道路もアスファルト舗装され、用水路も整備され、カエルやザリガニの姿やそれを取っている子どもたちも見かけなくなりました。なにやら寂しい感じのする田圃の風景です。

私が小学生の頃(約50年前)、東京都世田谷区のどぶ川でザリガニ取りをしていたのが、不思議な気がします。やはり日本は、全国的に生き物が住みにくくなってきているのでしょう。地球全体に人類以外の生物は、人類よりさらに住みにくい環境になっているのでしょうか。

地球上にわれわれ人類だけ増加し、地球環境を汚染している現状から、グリーンコンシューマー運動により、少しでもその汚染スピードを遅らせていくことができるように、グリーンコンシューマーの精神が多くの日本人に浸透していくことを望みます。

以上



≪創刊号≫「グリーンコンシューマー東京ネット」設立に寄せて!

 ◆永井 進(法政大学教授)  「ともに立ち上がりませんか!!」

私たちは、自分や家庭の生活を維持・向上させるために毎日、消費生活を送っています。しかし、消費生活は家庭で自己完結するのではなく、社会、そして環境に大きな影響を及ぼします。

私たちは自動車をマイカーと呼びますが、自動車は交通渋滞や大気汚染などの害を他の人々に押し付け、地球の温暖化を促すだけでなく、道路計画を通じてまちづくりにも大きな影響を及ぼしています。

消費生活から出てくるゴミは焼却場で燃やされ、ダイオキシンなどの汚染を生み出すとともに、海浜や山を埋め立てて処分されています。

地球の環境資源が稀少化する今日、資源を再利用し、途上国や将来世代に良好な環境を残す義務が私たちに課せられています。消費生活が環境に及ぼす影響を知り、大量生産・大量廃棄のシステムの中で作られてきた大量消費を振り返り、環境に配慮した生活の在り方を求めるグリーンコンシューマーの役割が今、大きく求められています。

現在、生産者は環境の配慮した製品を開発し始め、商店はリサイクル商品等の環境に配慮した商品を販売し、自治体や事業者はグリーン調達を進めています。こうした循環型社会を目指す動きの中で、グリーンコンシューマーリズムは世界の消費者運動の中で大きなうねりとなっています。環境に付加を与える生活のあり方を見直し、消費生活や買い物を通して、環境保全につとめる運動にともに立ち上がりませんか。

◆市毛 良枝(環境カウンセラー)  「小さな力も合わせれば大きな力!!」

環境と一言で言っても、あまりにも多岐に渡っています。環境カウンセラーの登録のための専門分野だけでも22項目あります。そして一人ひとりのできることはあまりにも小さいと思います。

自然の中にいると、この美しい自然を破壊してはならないと思うのです。でも、自分の存在が環境を汚染しているという矛盾はまぬがれません。ゴミ処理やリサイクルをやっていても、矛盾だらけで悩みはつきません。

大量生産、大量消費のシステムを変える必要があると言われる一方で、ものが売れなければ経済の回復はないといわれています。しかし、ゴミ問題の解決や、循環型社会の実現を考えると、他の方法で経済回復を考える時はきており、まさにそれがいまだと思うのです。

消費者側からいえば、安いものは嬉しい。でも安いと喜んで買ったものが、ゴミになるときに環境を破壊するとしたら、本当に安いのでしょうか。自分の生きる土壌を破壊して、食材は、暮らしは、健康は、地球の未来は保証されるのでしょうか。結局はとてつもなく高い買い物ではないでしょうか。買う時に、いつかそのものがゴミになることを念頭において買わないと、ゴミは減らせないし、汚染も止められないでしょう。

1人でできることは小さいが、小さな力も合わせれば必ず大きな力になります。この度発足するグリーンコンシューマー東京ネットの活動が、一人ひとりの地道な活動をサポートして、政治や経済を動かすまでの力となり、やがては、大きな地球の未来に繋がることを願って止みません。

以上



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