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情報誌

巻頭言(2)

≪第20号≫「地球と暮らしをどう守るべきか」
   田丸せつ子
(東京都生活学校連絡協議会会長)

東京都生活学校連絡協議会(68校)は、長年にわたって環境問題の話し合い・学習・調査・対話集会(行政・企業)の実践活動を続けてきました。今年度のテーマは「21世紀の寿命――地球と暮らしをどう守るべきか――」です。行政に先駆けての取り組みは、活動の大きな成果を挙げてきました。しかし、現在もごみは増え続け、ごみの削減は、国民の生活にとって緊急かつ重要な問題になっています。スーパー・コンビニで無料で配布されるレジ袋は年間300億枚といわれています。生活学校は買物袋を持参する運動(マイバッグ運動)を推進し、レジ袋のごみの発生抑制に努めてきました。
また、レジ袋をめぐっての議論が種々展開される状況の中で、住民の本当の気持ちはどうなのか調査するために、2005年7月〜8月にかけて13,299人の協力を得て全国調査を実施しました。レジ袋の調査としては大規模なもので、各地の生活学校のメンバーの意識の高まりを感じました。

今後私たちは、増加するごみの減量の啓発は勿論のこと、販売店の自主的有料化についても働きかけを行い、住みよい地域社会にしていくための運動を推進して行きたいと思っています。これらの活動をしていく中で、環境問題は、子どもの時から学ぶ必要があると痛感している昨今です。

以上



≪第19号≫「多様な組織と連携・協力」
   岳野 尚代
(東京都生活文化局消費生活部長)

このたび、23年ぶりに消費生活部門に戻り、当時と比べ、その変貌ぶりに驚き、肝に銘じたことが2つある。

まず、情報技術分野の革新の速さをドッグイヤーというそうだが、消費生活の変化のスピードが、ドッグイヤーそのものだということである。この3年間で2倍に増加した相談件数。事業者名を公表した途端、社名を変えてまた同様の手口で悪質商法を行う業者。例を挙げればキリがない。行政もこうした状況変化を瞬時に察知して、その対策を講じなければならない時代となったのである。

2つには、消費生活がさらにグローバル化し、流通が複雑多岐になり、行政や消費者団体だけでは課題の解決がますます難しくなってきたことである。

行政で言えば、局や部という縦割り組織を超えて様々な部門と連携する。消費者団体も、事業者団体はもちろん、大学や介護事業者とも相互協力する。こうした連携や相互協力がない限り、課題の解決や改善は望めなくなった。

グリーンコンシューマー東京ネットの活動は、消費生活と環境の問題を本質的に結びつけたものである。こうした問題の真の解決や前進には様々な分野や組織との相互連携が不可欠だという認識に立っているからである。これからの運動や課題解決は、東京ネットの活動のように局際的に展開すべきだし、運動の哲学にどのくらい奥深さがあるかが、共感の大きさにストレートに影響してくると思われる。

東京ネットのますますのご発展を念じてやまないところである。

以上



≪第18号≫「木づかいのススメ」
   川井 秀一
(京都大学生存圏研究所 所長)

いま、わが国では国産材の利用が滞り、森林の荒廃が深刻になっています。人間の手で植えられてきた人工林は、枝打ちや間伐(間引き)によって健全に育ちます。国産材が売れないために、森の手入れが行き届かず、放置林が増加しているのです。

一方度、日本の木材消費は8割以上を輸入材に頼るという極端に状況にあり、その中には違法伐採も含まれています。山林の荒廃は、山崩れや洪水を招き、水資源や生物多様性の確保、地球温暖化防止などの環境機能を低下させます。

このように現在の日本では、少なくとも人工林の場合、樹木を伐採・利用しないことが環境悪化につながっているのです。

したがって、使ってはいけない木材(違法伐木)、使ってもよい木材(持続的に生産された輸入材)、そして、積極的に使うべき木材(国産スギ材)を消費者が賢く見分けて環境に配慮した買い物をし、これを広く普及することが日本の森林を育て、持続的な木材資源を確保することにつながります。たとえば、間伐材を使った身近な製品にカートカン(紙製飲料缶)、封筒、ファイルなどの紙製品があり、これらを積極的に使うことが、国産材の利用促進につながるのです。

日本の森を育てる木づかい円卓会議(日本木材学会主催)は昨年11月に「木づかいのススメ」を公表し、以下の提言を行い、木づかい運動を展開しています。

 日本で育てた木を遣おう
 日本の森を元気にするために
 それが持続可能な暮らしを実現する

なお、提言書は日本木材学会のHP(http://www.jwrs.org/)から取り出せますので、是非、ご覧ください。

以上



≪第17号≫「100万人のキャンドルナイトの広がり」
   藤田 和芳
(大地を守る会 会長)

「100万人のキャンドルナイト」というイベントをご存知でしょうか?1年で一番長い夏至の日の夜に、2時間だけ電気を消すという運動です。1昨年、「大地を守り会」や「ナマケモノ倶楽部」などのNGOが呼びかけたところ、あっという間に日本中に広まりました。今年は夏至の日の6月21日を最終日として、6月18日(土)〜21日(火)までをキャンドルナイトの日とし各地で様々なイベントが実施され、日本全国で664万人もの人が参加しました。とくに、19日(日)は東京タワーをはじめとして札幌時計台、姫路城、首里城など全国のライトアップ施設がいっせいに消灯されました。

参加者は、思い思いのスタイルで2時間だけ電気を消し、スローな夜を味わえばいいのです。ロウソクの光で子供に絵本を聞かせる。静かに恋人と食事をする。ある人は省エネを、ある人は平和を、ある人は世界のいろいろな場所で生きる人々のことを思う。ちょっとプラグを抜くだけで、今までとはまったく違う世界が見えるかもしれないのです。私たちの生活のあり方、文明のあり方を捉え返すきっかけになるかもしれません。

このイベント、今年は世界160か国にも呼びかけました。自分のささやかな行動が、世界中の人々と繋がっていると感じるのはこの上なく楽しいことではないでしょうか。次回の「100万人キャンドルナイト」にあなたも参加してみませんか?

以上



≪第16号≫「京都議定書の発効を迎えて」
   浅岡 美恵
(特定非営利活動法人気候ネットワーク 代表)

2月16日、京都議定書が発効した。採択から7年。米国は京都議定書を拒否し、ロシアの批准も遅れるなど、瀕死の状態にあった議定書をよみがえらせたのは世界のNGOの活動である。進行する温暖化の脅威を訴え、気温の上昇を2°C未満に抑えるために、京都議定書の約束は最初の小さな一歩であり、米国がどうであれ、勇気をもって踏み出すべきと呼びかけ続けてきた。日本で、市民が自らの未来を決めるプロセスに参加し、社会を変えることができることを学んだ7年だった。

議定書の発効によって、私たちの暮らしはどう変わるのだろう。日本は現状で90年の水準から8%もCO2など温室効果ガスの排出が増加しているが、2012年までに90年の水準から6%減らすことが国際約束となる。

実際にはトリックのような仕掛けがあって、政府のエネルギー消費によるCO2の目標は90年の水準から+0.6%だが、2013年以降も大幅削減が必要になる。小手先の対策ではなく、社会や経済を脱温暖化型に変えていかなければならない。CO2の排出量に応じて課税する炭素税は、そうした社会の基礎となる仕組みであり、消費者が支持して早く導入する必要がある。

消費者にできることも大きい。エネルギーやエネルギーを使う製品の消費者として、省エネ性能の高い製品を選んで購入し、無駄なく使用する工夫をすることが、温暖化防止に必須だからだ。家計にも温暖化防止にも貢献するグリーンコンシューマー運動を広めたい。

以上



≪第15号≫「冬の夜の暖かい思い出」
   辰巳 菊子
(社/日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 理事)

この季節になると毛糸再生機のことを思い出します。やかんの蓋にしかけ、湯気を使って、解いてカールした毛糸を真っすぐに戻すアイデア品です。母が夜の片づけを終えた後、火鉢でしゅーしゅーと湯気の立つ毛糸再生機を使って、くねくねの毛糸を魔法のようにきれいにしていました。

小さかった私と妹は火鉢を取り囲み、私たちにも引っ張らせてなどと騒ぎながら、その威力に目を見張ったものでした。それからせっせと母はその毛糸でアフガン編みをはじめ、あっという間にフード付きカーディガンなどを編んで着せてくれました。母の毛糸を編む指や手の動きも、目に焼き付いています。

一つ出来上がるとまた、別の糸で同じことが始まります。洗った古いセーターを解くときのあの快さや、あっという間にまっすぐになる毛糸。本当に楽しい冬の夜の、小さい私たちにとっての楽しい遊びでした。いつも、私がやりたい、私がやりたい、と妹と場所の取り合いをしていましたが、母はそれを上手に仲裁しながら、休まず手に毛糸を巻き取っていました。

火鉢だけが部屋の暖房のはずなのに、温かい記憶しかない子供時代。リユースやリサイクルなんて言葉はなかったけれど、目の前でリユース、リサイクルそのものを見て育つことのできた、豊かな冬の夜の思い出です。

以上



≪第14号≫「拡がれ! 「環境にやさしい買い物」の輪」
   戸田 克稔
(内閣府国民生活局企画課課長補佐)

今年も10月中、全国各地で「環境にやさしい買い物キャンペーン」が展開されています。

平成10年に東京で始まったこの取り組みが平成12年に14都府県の共同キャンペーンに拡がり、さらに7年目の今年は、とうとう47都道府県すべてが参加することになりました。また、本キャンペーンへの参加流等事業者・小売事業者も、平成14年の約11万店舗から平成15年の約15万店舗へと、大幅に増加しています(平成16年は今後集計)。

このように、本キャンペーンの輪が広がっていけば、消費者の方々への働きかけの機会も増え、少しずつではあっても着実に、消費者の行動や経済社会を環境にやさしい方向に変えていけると考えております。

内閣府が全国の調整・とりまとめ役として参画して2年目を迎えましたが、ムーブメントを引き起こすため、また、携わっている数多くの方々に少しでもお役に立てればとの思いで、本キャンペーンに取り組んでいます。いつの日か、キャンペーンを展開しなくてもよい日が来ることを期待し、これからも一歩ずつ着実に前進して参りたいと考えておりますので、今後とも、それぞれの立場でできる限りのご参加・ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

以上



≪第13号≫「グリーン排出者」
   土居 敬和
(財/日本浮包装リサイクル協会 広報部長)

リサイクルの進展は、市町村での分別収集体制の広がり、リサイクル率の伸びなどによって判断されている。容器包装のリサイクルは2000年4月から全面施行された容器包装リサイクル法によって格段に進んだ。

実務面でコーディネーター役として容器包装のリサイクルを進めてきたのが(財)日本容器包装リサイクル協会。1995年9月に設置された。当初の扱いトン数は16万トン、6年後の2003年度で5.7倍の91万トンを、全国約8割の市町村から引き取りリサイクルするまでになっている。金額も半端ではない。関係事業者による年間420億円を超える支払いによって制度が維持されている。

分部収集量の拡大とともに大事なことは、分別排出段階での品質の良し悪しである。品質の基準は法律で規定されているが、基準が必ずしも満たされてはいない。まだまだ異素材や汚れのついたものが混じっている。よいリサイクル品は、リサイクルの旅の出発点である消費者の分別排出の質に左右されている。グリーンコンシューマーとしてはリサイクルによってできたものを購入する面で大事な役割を担っており、購買時でのグリーンコンシューマー精神が大いに注目されるが、今後は、自治体の基準に応じたグリーン排出者としての役割にも期待したい。

以上



≪第12号≫「こっち側とそっち側」
   吉永みち子
(作家)

例えば、スーパーにマイバッグを持っていく。例えば「環境への負荷を考えた買い物や生活を」なんてことを話す。すると、「えらいですね」「高い意識で」「地球にやさしいですね」などという反応が返ってくることがある。この言い方には、こっち側とそっち側というような壁が感じられて、何とももどかしさを感じる。

この壁はいったい何だろう。人間の特性として、一生懸命に取り組んでいる側に入ると、取組まない側を、つい環境に配慮をしない意識の低い人で、この人たちを動かさなければいけないのだといった上から下への目で見てしまいがちになる。禁煙すると、喫煙している人たちがどうしようもない人に見えるように、目覚めた人は目覚めない人に、どうしてもきつくなるのが常らしい。

だから、おえらい、おやさしい、お高いというニュアンスの反応は、自分の心の底のそんなきつさを映す鏡のような気がする。環境を気遣うことが、やさしいとか意識が高いと言われるのは、やっぱりどこか違う。当たり前のことで、普通の人。誰でも穿いているパンツのようなもの。えっ、そうなの! と思えば、穿かないと結構恥ずかしいぞ。カッコ悪いかも・・・とあわててパンツに走る。そんな流れができた時に、雪崩を打つように人の意識は変わる。うねりを抑止する壁は、実は外だけでなく内にもあるのかも。

以上



≪第11号≫「自責点加算方式はいかが?」
   芝原 純
(社/消費者関連専門家会議 理事長)

誰だって環境にやさしい生活を実践したいはず。私だってそうだ。電気はこまめに消すし、ペットボトルは旅行以外には買わないし、車はなるべく使わずに電車やバスを使う。けれどグリーンコンシューマーを徹底しているという実感がわかないのはなぜだ。

市場経済社会では、ほとんどすべての活動成果は金額換算できるから、自分の目標設定や成果について、容易に客観的評価ができる。例えば車を買いたいとき、自分の小遣いの何か月分になるのか、通帳残高を見てあといくら貯めれば買えるか、など明快なのである。

しからば、グリーンコンシューマーとしての生活ぶりを点数で評価できないだろうか。

簡単に言えば、マイバッグを持参せずにレジ袋をもらったら何点、朝シャン1回は何点というものである。使い捨ての梱包材料、飲料容器、使い捨ての食器などは、製造と廃棄に要する資源量を点数で表示し、廃棄時に自責点として加算するのはどうだろう。

目下の私の最悪の行動は、通勤電車で毎日往復60キロメートル以上も移動するための電気エネルギーの消費である。1往復がレジ袋何枚分になるのか誰か計算して教えてほしい。

色々な材料や製法の組み合わせで次々に生まれてくる製品について、環境負荷量を点数表示する技術的困難性は十分認識した上で、何か良い方法はないものかと愚にもつかぬことを真面目に考えているこの頃である。

以上



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